水際喫茶室|お魚・エビに一喜一憂

レッドチェリー

恐ろしい話「ミナミヌマエビとシナヌマエビ」

 前の「ミナミヌマエビ×レッドチェリー交雑実験」時に、本物のミナミヌマエビが欲しかったので、地元河川でミナミヌマエビと思われるエビを採集しました。ところが、その後日本の河川でミナミヌマエビと思われる個体を採集したからと言って、本物とは限らない事が判ってしまった・・・という話と、昔変なミナミヌマエビを見たという話。2005年に日記に書いた記事の編集版と、追加情報です。

 大学時代の某先輩と電話で久しぶりにお話しました。 環境調査の会社にいらしゃって、県生物学会の活動もされている方です。
「県内のミナミヌマエビは自然分布じゃないかもしれません。調査してると、ミナミの分布が全然つながってなくて不自然なとこがあるのですよ(注1)。以前オキアミが日本に入ってこなくなった時に、釣りえさとしてミナミが大量に使われた事があってですね。その売られてたミナミをその辺の池で殖やして釣りに使って・・・っていうのが釣り人に多かったので、そのミナミが河川や池に流入したかも。つまり国内移入です。餌としてはシナヌマも大量に輸入してるから、もしかしたらシナヌマも入ったかもしれません。仕事の時は忙しいので全部ミナミって事で仕分けてますが、おさんぽさんに教えたあの川のミナミ(注2)もシナヌマ入ってるかもね〜」
ひいい〜。それって、国内の河川にいるからといって、自然分布のミナミヌマとは限らない、ばかりか、シナヌマもいるかも・・・って事ですね。

 実は昔、判別に困るミナミヌマを見たことがあります。
その時はちゃんと文献片手に顕微鏡観察して某先生と一緒に見たのですが、文献によると、ミナミヌマとシナヌマは額角の長さで分けられる事になってるんですよね。で、

長崎市内某河川のミナミヌマ
→文献に記載されたとおりの日本のミナミヌマ。
市内観賞魚店で中国から輸入したミナミ(シナヌマ)
→文献に載ってるとおりのシナヌマ。

だったんですが、

大学中庭の池の中で延々累代してるミナミ (元は市内某所の池から採ってきた)
→かなり小型なうえに、額角がミナミとシナヌマの中間付近の微妙なライン。

交雑しているのか、かなり狭い場所で延々累代してるので形質がある程度固定化されているのか、迷うかんじ。淡水モノの怖いところです。 この時は、中庭の狭い水槽内に限った話なんで、特殊な個体群に仕上がってるということで、先生と「見なかったことにしよう!」となりました(笑)

しかし、レッドチェリーとシナヌマを交雑実験に使用するにしても、肝心のミナミヌマがそんなかんじだとは。これで、交雑実験に使うミナミヌマの同定作業まで必要になりますね。事実上迷宮突入決定かも。
ちなみに、どっちの額角が長いんだったか、肝心な事を失念しております。手元に資料のある方のご連絡をお待ちしております(^^A →シナヌマは、額角に雌雄で性的二型有り。オスの額角が第1触覚柄部先端よりも短い(昔見た個体は、長さ半分位でした)。ミナミの額角は性的二型無しで、第1触覚柄部先端に達するか超える等。他にも色々ありますが、現在日本の河川に入り込んだ外来カワリヌマエビがシナヌマ1種とは言い切れない状態ですし、ミナミヌマエビを含むN. denticulata自体ただでさえ亜種が多い種です。また、一部交雑の可能性も指摘されているので、素人にはもはや判断不可能かもしれません。(→以降2010年5月追記)

注1:分布が繋がってなくて不自然:自然分布なら、隣り合った「環境が似ている河川や池」等にも生息するはずですが、特定の池にだけいる!等の場合は、放流や逃げ出した個体が繁殖した可能性が高いと思われる場合があります。(もちろん、他の生物相も考慮して考えます)

注2:あの川のミナミ(ヌマエビ):諫早市内某所のとある川でミナミヌマエビがおそろしく楽に大量採集できる。ここで2004年10月末に採取したミナミヌマをレッドチェリーとの交雑実験に使いました。
 →2008年5月、改めてこの河川の同じポイントでミナミヌマエビと思われる個体を採集しました。額角の雌雄差無しで、長さは第一触角柄部先端とほぼ同じ。前側角部に小さな棘あり。一応簡易的には、本来のミナミと判断される条件は整っているのですが、採集地点に以前なかったホテイアオイとスイレンが大量に入っていたのと、以前は確認出来なかったインドヒラマキガイが居たので、それらと一緒に後から流入した個体群の可能性もあります。もうひとつ気になるのは、昔他の河川で採ったミナミは、もっとごつごつした顔だった気がする事。各部まじまじ観ていたわけではないので本当に気のせいかもしれませんし、地域変異の範疇かもしれませんが。しかし、淡水モノはただでさえ難しいのに、雑種の可能性まで入ってはお手上げ状態です。(2010年5月追記)

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参考リンク集

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2005年10月日記にて。2005年12月加筆修正、2010年5月情報追加

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