水際喫茶室|お魚・エビに一喜一憂

レッドチェリー

ミナミヌマエビ×レッドチェリーシュリンプ交雑実験

 レッドチェリーシュリンプとミナミヌマエビは、ぱっと見形態のよく似た淡水エビで、共に大卵型です。2005年当時、ネット上では両者が「交雑する、しない」の両方の意見を目にしていたので、いっそ簡単な交雑実験をしてみようと思いました。

 この実験では地元の河川で採集したミナミヌマエビを使用し、結論から言えば交雑しませんでした。が、2010年現在、お店で販売されている「ミナミヌマエビ」とレッドチェリーは、容易に交雑する場合がある事が判っています。実は、流通している「ミナミヌマエビ」は、そのほとんどが「本当のミナミヌマエビ」ではないようです。詳しくは、「レッドチェリーシュリンプの正体?」をご覧下さい。また、購入ミナミヌマエビとレッドチェリーが交雑したという実験結果が、岩さん管理の蝦三昧にあります。
 現在では、日本の河川にシナヌマエビ他カワリヌマエビ属の外来種が多数侵入している可能性が指摘されていますので、河川で採集したからと言って本物のミナミヌマエビであるとは言えません。そのため、実験の前提条件に一部不都合があります。詳しくは、恐ろしい話をご覧下さい。
 以下、当時の記録ですので残しておきます。

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レッドチェリーメスの準備

 多くの淡水エビでは、脱皮直後の殻が柔らかい状態のメスがオスと交尾し、その時に得た精子を利用して、体内で受精→産卵(腹肢に抱卵)することが知られています。実験に使うレッドチェリーのメスも、同種のオスと交尾済みで精子を持っていたらまずいので、ちょっと準備をしました。
 まず、2年以上前に購入した個体8尾から累代維持(*)している4〜50尾の中から、卵巣をはっきりと確認できるが、抱卵はしていない状態のメス5個体を隔離しました。この5尾をしばらく隔離して、抱卵しないことを確かめます。
*:親と子どもが交雑することもあるため、厳密な累代ではありません。

隔離水槽

右は、隔離水槽の様子です。
17キューブベアタンク、弱めのエアレーションのみで濾過無し。ミクロソリウムやウィローモス等の水草を投入。餌は、アカムシかプレコタブレットをほぼ毎日。食べ残しはペレットで吸い取り。1〜2週に一度換水(もとの飼育水槽からの水で、3分の1程度) 水質センサー役として、レッドラムズホーンが同居しています。

 2004年9月末から2ヶ月以上そのまま加温無しで飼育していましたが、水温は21〜26度の範囲内でした。(一番下がる明け方が寒い時で21度、日中暖房で26度付近まで上がることがありました)
 5尾のメス全てが脱皮し、それに伴って腹部の張り出しが顕著になりましたが、産卵は行われませんでした。卵巣は、常にはっきりと確認できる大きさでしたが、一部の個体でやや再吸収されたように思えました。(測定ではなく目視です)
 隔離飼育開始から1ヶ月半経過した頃に1尾、2ヶ月経過後に2尾の死亡が確認されましたが、前後で水槽内の他の生体に特別異常と思われる行動は見られず、 死亡した個体の大きさ、死亡後の遺骸及び水の透明具合、同居生物の様子等から、寿命か、それに近い死だと思われました。
 同期間中、同じ室内の元の雌雄混泳状態のレッドチェリー水槽では、 ほとんどの成熟メスが次々と抱卵していました。

2ヵ月後のレッドチェリー・メス

右は、2ヶ月以上隔離飼育したメス個体です。複数の脱皮を経ても抱卵していないので、貯精のうにレッドチェリーの精子を持っていないだろうと思われます。 そこで、生き残ったメス個体2尾を、ミナミヌマエビとの交雑実験に使うことにしました。

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ミナミヌマエビの準備

 ミナミヌマエビは、とても亜種の多いエビで、時には中国からのシナヌマエビ(亜種)が釣り餌として輸入されたり、 そういう個体が観賞魚店にいたりするので、後々情報を整理できるように、「間違いなく日本のミナミヌマエビです!」という個体を用意したいと思いました。そこで、2004年10月末に、長崎県内某河川でミナミヌマエビを採集しました。
 採集時には既に繁殖期が終わっていたらしく、メスの卵巣は肉眼で確認が難しい位小さい状態でした。上記のレッドチェリーメス水槽の隣、ほぼ同様の条件下でしばらく飼育したところ、20日程でメスの卵巣がはっきり目で見て確認できるようになりました。(余談。飼育当初、新鮮な動物性のものを食べつけていないためか、アカムシには全く興味を示しませんでした。プレコタブレットには初日から団子のように集まりました)

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混泳開始

混泳水槽2

 2004年12月頭、レッドチェリー♀隔離水槽にミナミヌマエビの♂♀を入れて混泳開始しました。飼育方法は、今までと同様です。うちのレッドチェリーはミナミヌマエビに比べて最大サイズが小さかったので、ミナミヌマエビ♀は、大型2個体とやや小型2個体を選んで入れてみました。

混泳中

 混泳水槽の中にいるのは、
レッドチェリーの成熟♀2個体、
ミナミヌマエビの成熟サイズ♀4個体(大2・中2)、
ミナミヌマエビの♂5個体、
つまり、オスはミナミヌマエビだけです。この状態で、レッドチェリーが産卵した場合、産卵〜抱卵→稚エビが成長して生殖能力があるか、確かめるつもりでした。。
 実験開始当初、全ての♀ではっきりと卵巣が確認できる状態でした。

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結果とまとめ

産卵前日

 混泳開始の2004年12月から水温がさらにやや下がり気味になりましたが、最低で明け方の17度、最高で24度(日当りと室内暖房効果)でした。
 12月中旬、ミナミヌマエビの一番大型だった♀が抱卵しました。右の写真は、その産卵前日と、抱卵開始当日の写真です。

翌日

 ミナミヌマエビは、全ての個体が12月中に次々に抱卵しました。全ての個体は、産卵によって卵巣が小さくなりましたが、抱卵中に徐々に卵巣が大きくなり、稚エビを放出した後すぐにまた抱卵しました。一番大型のメスは、2回目の抱卵中死亡しました。

レッドチェリー♀卵巣大

 レッドチェリーメスは、卵巣は発達するものの2尾とも抱卵せず、混泳実験開始から約2ヶ月後の2005年1月下旬に1個体、3ヶ月後の2月末にはもう1個体が死亡して混泳終了となりました。卵巣が発達していた様子が右の写真です。
同時期、レッドチェリー繁殖水槽の方でも、大型個体がぽつぽつ亡くなって抱卵が減っていたようでした。(次の世代(明らかに一回り小型)は元気でしたが、卵巣は未熟でした)

 今回の実験では、レッドチェリーが抱卵しませんでしたが、

1)冬場で室内暖房はあっても、やや温度が低めになったため、日本産ミナミヌマエビよりも暑い台湾に棲むレッドチェリーの方が早く「産卵期」が終わって冬になってしまった。

2)死んだレッドチェリーのメスは、多分最大サイズに近かったので、体力そのものがあまり無くて抱卵できなかった。

3)実は産卵はしたけど、脱卵していた。(毎日観察できていたわけではありませんので・・・)

・・・の3点が否定できません。が、混泳しているミナミヌマエビ♀や、同じ室内のレッドチェリーがどんどん抱卵していた事を考えると、交雑しない線が強いと思えました。

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2005年6月公開、2010年5月再編

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