水際喫茶室|お魚・エビに一喜一憂

レッドチェリー

スジエビ・幼生の塩分耐性の例

 ヌマエビ類ではなく、テナガエビ科スジエビのお話。
スジエビは、地域・水系によって、卵径や幼生の大きさにかなり違いがあります。
以前、ダムの上流で採集したスジエビが抱卵し、幼生を放出した時に、幼生の塩分耐性についてちょっとした飼育実験を行ってみました(1998〜99年頃)。判りやすく言えば、「淡水はともかく、塩水で生育出来るのか!?」という実験です。片手間に行った実験なので、肝心の卵径の記録や元データすら手元に残っていませんが、参考程度に実例の一つとして公表します。

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親エビの用意

 実験に用いた幼生を放出した抱卵エビは、長崎市内の某ダムで採集された個体で、完全に陸封で繁殖していました。ただし、残念ながらこのダムにはブラックバス等様々な外来種も生息しているので、採集されたスジエビも自然分布ではなく、移入個体群である可能性が高いと思われました。(そのため、この個体群からデータを取っても、発表する意義があまり無いと当時考えて、予備的に行った実験でした)

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実験方法

 1リットルビーカーに塩分濃度の異なる飼育水を用意し、エアレーションをして、抱卵メス2尾から放出されたゾエア幼生をそれぞれの塩分濃度で飼育しました。餌はクルマエビの配合餌料をすり鉢ですりつぶしたものと、保険的に植物プランクトンのテトラセルミス(無くても良さそうでした)。後半は、アルテミア(ブラインシュリンプ)のノープリウス幼生も与えていたと思います(うろ覚えでスミマセン)。糞や食べ残しは、ほぼ毎日ピペットで取り除き、必要に応じて部分換水しました。
実際は、ゾエア個体数の関係上、次のように分けて飼育しました。

  • 大型抱卵メスからのゾエア約40尾を、淡水・10%海水・25%海水・50%海水の4段階に、各10尾程度(A)
  • 小型抱卵メスからのゾエア約30尾を、淡水・75%海水の2段階に、各15尾程度(B)

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結果と考察

 淡水〜75%海水まで全塩分濃度で稚エビの着底を確認しました。ゾエア期数は7か8(うろ覚えでスミマセン)。次のグラフは、横軸が飼育日数、縦軸が生残率です。

生残率

Aの7日目、淡水でゾエアが全滅していますが、エアホースが外れ、エアレーションがストップして飼育水が白濁していました。Bの淡水は7日目以降も実験期間中は50%以上の生残率があったため、Aの全滅は酸欠が原因だと考えられます。

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感想とご注意

 以上、実験に使ったこの個体群は、ダムの上流に居たとは言え、海に流れてしまっても、沿岸の低塩分水域にとどまることが出来れば稚エビになって遡上し、ダムまで登れずとも河川で再生産出来るのではないかと考えられます。もし、やや外海側に流された場合はどうなるのだろう?と思いますが、なんで100%海水でやってなかったの私(苦笑)
 スジエビは、地域・水系毎に、とても卵径等の変異が大きな種類なので、他にも個体群毎に色々と特徴が違うかもしれません。また、河川にいる大型のものと、ダム等にいる小型のものとは、別種かもしれないという話もあります。そのため、上の実験結果を全てのスジエビに当てはめて考える事は出来ませんので、ご注意下さい。今のところ、「淡水で繁殖するスジエビの中には、塩分耐性の範囲が広い個体群もいる」と考える位が良いのではないかと思います。詳しくは、下の参考をどうぞ。

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2010年12月5日公開

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