水際喫茶室|お魚・エビに一喜一憂

レッドチェリー

趣味での小卵型ヌマエビ類の幼生飼育成功例

実験室内での方法を参考に、家庭でヤマトヌマエビを稚エビまで育てた方が何人かいらっしゃるので、その方法をご紹介します。
 また、家庭でのヤマトヌマエビのゾエア飼育について、良いサイトもあります。
→stayさんの「BREEDING LIFE」

ページ先頭へ戻る

参考になりそうな経験則等

 実験室内で飼育中に得られた経験則です。

抱卵メスを隔離するタイミング
 親メスの抱卵開始からゾエア幼生放出までは2週間〜1ヶ月近くかかります(水温によって変動します)。ゾエア幼生を回収するためには、あらかじめ抱卵メスを他の魚やエビとは別の水槽・プラケ等に隔離します。その時抱卵メスの状態が悪かったり、水質が急変したりすると、メスが脱皮する等で孵化前に脱卵する場合があります。早くに脱卵した卵はカビたりしやすくて、孵化させるのが難しいのですが、孵化直前となった発眼卵の場合は、エアレーションしておけば、高確率で孵化してくれます。メスの状態に不安がある場合は、発眼するまで隔離を待ってみるといいかもしれません。
隔離が間に合わない時には、放出直後の元気なゾエアをピペットで拾い集めるのも手ですが、膨大な数なのであまりオススメできません。魚が入っている場合は、即餌になってしまいます。
まずは、メスを状態良く飼育する事
 経験的には、脱卵した卵からのゾエアや状態の悪いメスからのゾエアは、元気なメスからのゾエアに比べて着底まで飼育するのが厳しかったと思います。
元気なメスからのゾエアはやはり元気で、2〜3日中に一斉に孵化し、全体がほとんど一斉に変態を繰り返して成長していきます。一方、元気の無いメスからのゾエアや、脱卵した卵からのゾエアは、だらだらと何日も孵化が続き、元気もイマイチで、表面張力や底のふわふわしたゴミに捕まって死んでしまう個体が沢山出ました。抱卵メスの腹肢からは、卵の孵化時期を同期させるためのフェロモンが出ているらしいという説もありましたので、そういった事が影響しているのかもしれません(検証していません)。
塩分濃度
 ヤマトヌマエビのゾエア幼生には、70%海水の塩分濃度が最適という実験結果がありますが、 面倒であれば、半海水(50%)でも十分育ちます。自然界で川から海に降ったゾエア幼生は、おそらく比較的塩分の薄い沿岸付近に留まっているのではないかと思います(注)。ゾエアが放出されたら2〜3日以内に塩水にしましょう。 (注:遊泳力が弱いゾエア幼生は、波任せに外海に流れていきそうな印象があるかもしれませんが、甲殻類の中には、昼夜の垂直移動等で、結果的に沿岸向き・外海向きの特定の潮の流れに乗る・乗らない等する種類もあります。川や海の潮の流れや塩分濃度は、水面付近と水底付近で同じとは限りません)
食性
 ヌマエビ類のゾエアは、テナガエビ類のゾエアの様に「餌を捕まえて食べる」ような肉食性寄りではなく、どちらかと言えば、口に入る大きさの餌なら何でも食べているようなかんじです。実験室内では、ワムシや酵母を餌にするよりも、テトラセルミス等の植物性プランクトンの方が稚エビまでの生残率が良いという結果でした。(ワムシはゾエア幼生のステージが進まないと、大きくて口に入りません。ブラインシュリンプのノープリウス幼生は大きさから見て更に無理です) また、ヤマトヌマエビのゾエアは、他の種類のゾエアに比べて、配合飼料をすりつぶしたものをよく食べてくれます。
余談ですが、植物プランクトンを餌にする場合、対数増殖期(どんどん増えているような状態の時)のプランクトンでないと、餌の効果がありません。餌になる植物プランクトンのメンテも忘れずに・・・

ページ先頭へ戻る

飼育成功の実例

 研究者以外の方が、家庭でゾエア幼生から稚エビまで飼育できた成功例です。

その1
 汲んできた海水を60センチ水槽に入れて屋外でエアレーションし、緑になるまで待ったものを餌にして、約60尾を稚エビまで育て上げた。実は、単に海水が緑になるまで待っても、餌料効果のある植物プランクトンであるとは限らないそうなのが難点ですが、これでうまくいったという話はよく聞きます。
その2
 その1の改良版です。別の方で、海水汲んできて水耕栽培用の肥料で海水青水を作って餌にして数十個体稚エビまで育てた方がいらっしゃいました。これでF2までいけたとか。同じ方法でミゾレヌマエビもいけたそうです。
その3
 かなり家庭向け。テトラドロミンに水を加えて、練ってペースト状にしたものを餌に、稚エビまで30個体育てた成功例があるそうです。水が汚れそうですし、植物プランクトンに比べると若干成功率は落ちますが、一応成功は成功ということで・・・。 ちなみに、何故テトラドロミンか、というと、水を加えた時に柔らかくなりやすく、ペーストを作りやすいんだそうです。 テトラドロミン以外にも、ペレット状・スティック状のぺーストを作りやすい餌なら、試してみていいと思います。

ページ先頭へ戻る

幼生の飼い上げ難度

個人的に思う稚エビまでの飼い上げ飼育難度は、やさしい方から順に、
ミゾレヌマエビ<ヤマトヌマエビ<トゲナシヌマエビ<ヒメヌマエビ
というかんじです。 最適塩分濃度は種によって違いますが、50%海水であれば、それ程問題はありません。どうしても換水したい場合は、エアチューブの先にガーゼを取り付ける等でゾエアを吸い込まずに換水作業もできます。(←実際、あまりに忙しい時は、実験室内でもこれをやる時があります。ただし、ゴミはあまり取れません)

ページ先頭へ戻る

2004年8月、2008年5月加筆修正、2010年5月再編

Copyright (C) 2001-2011 水際喫茶室. All Rights Reserved.